コロナ禍を契機に急拡大したシェアオフィス・コワーキングスペース市場は、2026年現在も成長が続いている。テレワーク・ハイブリッドワークが「働き方の標準」となった時代に、多様な職種・年齢・ライフスタイルの人々が集まるコワーキングスペースは、自販機ビジネスにとってきわめて魅力的な新しい市場だ。
第1章:コワーキングスペース市場の急成長
市場規模の推移
| 年度 | 施設数 | 市場規模 |
|---|---|---|
| 2020年 | 約1,400か所 | 約300億円 |
| 2023年 | 約2,800か所 | 約550億円 |
| 2026年予測 | 約4,000か所 | 約800億円 |
(一般社団法人コワーキングスペース協会、各種資料より)
新型コロナ以降のリモートワーク普及により、企業がサテライトオフィス・コワーキングを活用する機会が増加。個人のフリーランサーだけでなく、大企業のリモート社員も主要な利用者になっている。
コワーキング利用者の多様性
コワーキングスペースの利用者は多様だ。
- フリーランサー: ライター・デザイナー・エンジニア・コンサルタント
- スタートアップ: 創業期の少人数チーム
- 大企業のリモート社員: 在宅よりコワーキングを選ぶ会社員
- 副業・複業ワーカー: 本業の合間に副業をこなす人
- 海外ノマドワーカー: ビザが許す範囲で日本で働く外国人
第2章:コワーキング利用者の消費行動
長時間滞在型の飲料需要
コワーキングスペースの利用者は平均3〜6時間滞在する。この「長時間滞在×集中作業」が自販機にとって好条件だ。
- 作業中の水分補給: 集中しながらも飲料の補充は怠らない
- コーヒーの複数回購入: 午前・午後・夕方と1日3〜4回のコーヒー需要
- 軽食: 昼食を自販機の軽食で済ませる効率重視型ユーザー
健康志向の消費者が多い
コワーキングスペースには健康・美容・ウェルネス意識が高い利用者が多い傾向がある(特にフリーランサー・クリエイター層)。
- 無糖茶・ミネラルウォーター・炭酸水の需要が高い
- 機能性飲料(集中力向上・栄養補給)への関心
- 無添加・オーガニック志向の飲料への需要
📌 チェックポイント
コワーキングスペースの利用者はコーヒーチェーンで1杯600〜800円払うことに慣れている。「200〜250円の高品質コーヒー自販機」は価格比較で優位に立てるため、プレミアムコーヒー自販機の設置が収益向上につながる。
第3章:施設のタイプ別戦略
タイプ①:フルタイムメンバー中心の会員制コワーキング
24時間対応・月額固定制の会員制施設。安定した会員数が見込める。
- 深夜帯の需要あり(夜遅くまで作業するフリーランサー・エンジニア)
- 常設の飲料自販機・コーヒーマシンの相互補完
- 会員向け割引(アプリ連携ポイント還元)で満足度向上
タイプ②:ドロップイン中心の時間利用型コワーキング
1時間300〜600円程度で利用できるドロップイン型。多様な利用者が入れ替わる。
- 利用者の回転が速いため、1日の売上本数が多くなりやすい
- 初めて来た利用者の衝動買い需要
- フードコート感覚の軽食・スナック販売が向いている
タイプ③:特定業種特化型コワーキング
クリエイター特化・IT特化・女性特化など、ターゲットを絞った専門コワーキング。
- クリエイター特化: 長時間作業×高品質飲料需要
- IT・エンジニア特化: エナジードリンク・プロテイン飲料の需要が高い
- 女性特化: 美容系ドリンク・低カロリー食品のニーズ
第4章:コワーキング×フードサービスの連携
「ランチ問題」の解決策としての自販機
コワーキングスペース利用者の悩みの一つが「ランチをどうするか」だ。近くに飲食店があれば問題ないが、外食は時間がかかる・コストがかかるという悩みがある。
- 冷蔵弁当・おにぎり自販機の設置
- カップ麺・インスタント食品の自販機
- 冷凍食品自販機(電子レンジを施設に設置すれば使えるように)
コーヒーマシン×飲料自販機の組み合わせ
多くのコワーキングスペースでは無料のドリップコーヒーサービスを提供しているが、自販機のコーヒーはそれとは異なる「選べる・カスタマイズできる」という価値がある。
- 無料コーヒーにはない種類(エスプレッソ・カフェラテ・コールドブリュー)
- コーヒー好きな利用者の「もう1杯」需要
- 無料サービスと有料自販機の役割分担
第5章:コワーキング施設側へのメリット提案
施設運営者が自販機に求めるもの
コワーキングスペースの運営者は、自販機に以下のメリットを期待する。
- 会員満足度の向上: 飲料・軽食サービスの充実が口コミ評価につながる
- ロケーション料収入: 設置スペースから得る安定収入
- 手間のなさ: 施設スタッフが何もしなくても自動で運営・補充される
- 施設の特色づけ: ユニークな自販機ラインナップが「ここにしかない」価値に
提案書の作成ポイント
コワーキング施設への提案では、以下の内容を含める。
- 想定される売上シミュレーション(施設の会員数×想定購買率)
- 施設コンセプトに合わせた商品ラインナップ案
- 設置工事・保守メンテナンスの負担ゼロの説明
- 他のコワーキング施設での設置実績・成功事例
まとめ:コワーキング×自販機は「リモートワーク時代の産物」
シェアオフィス・コワーキングスペースは、従来の職場でも家庭でもない「第三の場所(サードプレイス)」として定着した。この新しい働き方を支えるインフラの一つとして、自販機が担える役割は大きい。
「集中して仕事をする場所」に、適切なタイミングで適切な飲料・食品を届けること——コワーキング×自販機は、リモートワーク時代が生んだ必然的な組み合わせだ。
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