じはんきプレス
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コラム2026.06.07| 編集部

ペット同伴旅行×自販機:観光地で広がる新商機【2026年版】

#ペット旅行#観光地#ペット同伴#ドッグラン#観光業
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ゴールデンウィークの伊豆高原。ドッグランを併設したリゾートホテルの駐車場に、次々と犬連れの家族が車を降りてくる。リードを握りながら荷物を抱えた女性が、ふとある機械の前で足を止めた。「あ、ここにあった。」彼女が取り出したのは、愛犬のためのミネラルウォーターと国産無添加のジャーキーのセット。500円を投入してボタンを押すと、専用の紙袋に入ったペットフードがゆっくりと落ちてきた。

「コンビニを探して10分歩いたこともあったから、本当に助かります。」

そう話す彼女の横では、ゴールデンレトリバーが駐車場の地面に水たまりを作りながら、ぐいぐいと水を飲んでいた。

ペット連れ旅行者の数は、この数年で爆発的に増加している。国土交通省の観光動態調査(2025年版)によれば、国内旅行でペットを同行させる旅行者の割合は2020年の14%から2025年には**28%**へと倍増。特にコロナ禍以降に迎えたペットとの生活が「当たり前」になった世代が旅行市場の主役となり、「ペットも一緒に行ける旅先」の需要は急拡大している。

しかし、この旺盛な需要に観光地のインフラが追いついていないのが現状だ。ペットフードや水、衛生用品を購入できる場所が観光地には少なく、旅行者は事前に大量の荷物を積み込むか、不便を我慢するかを迫られている。その空白を埋めるビジネスとして、ペット用品自販機が静かに、しかし確実に存在感を増している。


第1章:ペット旅行市場の実態——数字で見る急成長

「ペットは家族」の旅行市場化

日本のペット飼育頭数は、犬と猫を合わせて約2,000万頭(ペットフード協会調べ、2025年)。少子化が進む日本で、ペットは「子どもの代わり」ではなく「新しい家族の形」として定着した。この変化は旅行行動にも直結している。

ペット同伴旅行者の特徴は、一般旅行者と比べて際立っている。

  • 旅行単価が高い: ペット可の宿泊施設は一般施設より20〜40%高い料金設定が多く、ペット連れ旅行者は高い宿泊費を許容する傾向がある
  • リピート率が高い: 「ペットと一緒に行けた」という体験を重視し、同じ施設・同じエリアへの再訪率が高い
  • 消費財の購入意欲が強い: 旅行先でペット用品を購入することへの抵抗が低く、衝動買い傾向が強い

📌 チェックポイント

ペット旅行者は「高消費・高リピート・衝動買い」という3拍子揃った優良顧客層。観光地の自販機事業者にとって、この顧客層を取り込むことは単なる飲料販売とは異なる高収益ビジネスへの入口となる。

ペット可施設の急増と需要のミスマッチ

「ペット可」を謳う宿泊施設・観光施設は2020年から2025年の5年間で約1.8倍に増加した(旅行比較サイト・じゃらん調べ)。しかし施設数の増加に比べて、施設内・周辺でのペット用品調達環境の整備は大幅に遅れている。

調査によれば、ペット連れ旅行者の不満上位5位は以下の通りだ。

  1. ペットフード・水の調達場所がない(46%)
  2. ドッグランなどの運動施設が少ない(38%)
  3. ペット同伴で入れるレストランが少ない(35%)
  4. トイレ・衛生用品の購入場所がない(29%)
  5. ペットを預ける場所が少ない(24%)

1位の「フード・水の調達場所がない」問題は、自販機でダイレクトに解決できる課題だ。


第2章:ペット用品自販機の商品構成と設計戦略

売れる商品の選定原則

ペット用品自販機の成否は、商品構成で大きく左右される。観光地・旅行者向けという特殊な文脈での「売れる商品」を、実際の運営データをもとに整理する。

絶対に入れるべきコア商品

  • ペット用ミネラルウォーター(200〜350ml): 旅先での水分補給は最大の需要。専用ボトル(ノズル付き)タイプが好まれる。単価150〜250円
  • 小分けパウチおやつ(犬・猫用): 国産・無添加を訴求できるものが売れやすい。20〜50g。単価200〜400円
  • 排泄処理用品セット(うんち袋・シート): 忘れやすいアイテムで需要が安定している。単価150〜300円

場所に応じたプラスα商品

  • ドッグラン併設施設:ドッグランシューズ(犬用)・泥除きシート・速乾タオル
  • 海岸・川沿い:塩分除去シャンプーシート・防水スプレー
  • 山岳エリア:虫除けスプレー(ペット用)・怪我用消毒薬

💡 猫対応の重要性

ペット旅行者の35%は猫連れ(キャリーでの移動)。猫用商品(流動食パウチ・水・猫用おやつ)を充実させることで、市場の3分の1をカバーできる。犬のみに特化した品揃えでは機会損失になる。

自販機本体の設計要件

ペット用品自販機には、通常の飲料自販機とは異なるいくつかの設計上の配慮が必要だ。

  • 低い取り出し口の高さ: 荷物やリードを持ちながらでも取り出しやすいよう、取り出し口の高さを低く設計(地上60〜70cm程度)
  • 大きな取り出し口: 大袋・スプレー缶など、飲料以外の商品形状に対応できる開口部の大きさが必要
  • 電子マネー・QRコード決済対応: 財布を取り出す手間を嫌うペット連れ旅行者には、スマートフォン決済が支持される
  • 犬・猫の絵やイラストによる明確な視覚サイン: 「何を売っている機械か」が一目でわかるデザイン

第3章:設置場所別の収益モデル——ドッグランから観光地まで

ドッグラン:最も収益性が高い設置場所

ドッグランはペット用品自販機の最優良設置場所だ。理由は明確で、来訪者の100%がペット連れであり、滞在時間が30分〜2時間と長いため、購買意欲が醒めにくい。

実際の収益事例(関東近郊のドッグラン運営者へのヒアリングより):

  • 来場者数:週末平均150組(繁忙期200組超)
  • 自販機購買率:来場者の約35%(週末55台相当)
  • 平均購入単価:720円
  • 週末売上:約40,000円
  • 月間売上(週末8日換算):約320,000円

この数字から算出した年間売上は約380〜400万円。飲料自販機の年間平均売上(80〜120万円)と比べて3〜5倍の収益を上げている事例も珍しくない。

📌 チェックポイント

ドッグランでのペット用品自販機は、入場料収入に次ぐ「第二の収益源」として機能する。運営者は自販機設置による収益増と、「ここに来れば欲しいものが揃う」という集客力向上の二重の恩恵を受けられる。

ペット可宿泊施設:館内外の戦略的配置

ペット可の旅館・ホテルでの自販機設置は、フロント外・駐車場・ドッグスペース付近が有効だ。特にチェックイン後すぐにアクセスできる場所への設置が重要で、「荷ほどきをしていたら、消耗品が足りないことに気づいた」というシーンへの対応が購買につながる。

宿泊施設向けの自販機商品には、衛生用品やシャンプーシートなど「急に必要になるもの」を充実させることがポイントだ。

観光地の駐車場・サービスエリア

高速道路のサービスエリア・道の駅・観光地の有料駐車場は、ペット連れ家族が一息つく拠点として機能している。ここでの自販機需要は主に「補給」だ。

  • 水と軽食の補充: 移動中に消費したフードと水の補充
  • 排泄処理用品: トイレ後の処理袋の補充需要
  • 暑さ・日焼け対策: 夏場の保冷剤やパウダーなど

第4章:設置交渉と収益分配の実務

施設オーナーへの提案アプローチ

ペット用品自販機の設置を施設側に提案する際、単なる「場所貸し」ではなく「施設の付加価値向上」として提案することが成功のカギだ。

具体的な提案ポイント:

  • 集客力の向上: 「ペット用品が揃っている施設」という口コミが広がり、新規客獲得につながる
  • スタッフ対応コストの削減: 「フード売ってますか?」という問い合わせ対応が自販機設置で不要になる
  • 設置リスクのなさ: 施設側の在庫管理・仕入れ・販売人員が一切不要
  • 売上分配による収益増: 売上の15〜25%を施設側に還元する収益分配モデル

⚠️ 食品衛生法への対応

ペットフード(特に生肉系・冷蔵要冷品)を自販機で販売する場合、食品衛生法や農林水産省のペットフード安全法の規制を確認する必要がある。常温保存可能な加工品から始めるのが安全。

収益分配の相場感

業界の実態としては、売上に対して施設オーナーへの分配率は**15〜25%**が一般的だ。自販機の補充・メンテナンスをオペレーターが行う場合はオーナー分配率が低くなり、施設スタッフが補充を担う場合は分配率が高くなる傾向がある。


第5章:成功事例と今後の市場展望

成功事例:那須エリアのドッグランリゾート

栃木県那須エリアで大規模なドッグラン施設を運営するD社は、2024年春にペット用品専用自販機を6台設置した。導入1年後の成果は以下の通りだ。

  • ペット用品自販機6台の年間売上合計:約1,800万円
  • 施設のリピート来場率:導入前比**+12%**
  • 口コミ評価(ペット旅行サイト):3.8→4.4に向上
  • 「自販機が便利」という口コミ投稿:月間50件超

特筆すべきは、自販機の収益だけでなく「施設全体の評判向上」という副次効果だ。「ここなら何でも揃う」という安心感がリピーターを生み、入場料収入にも好影響を与えている。

2028年に向けた市場成長予測

ペット旅行市場は今後も成長が続くと予測されている。

  • 2026年:ペット同伴旅行者比率 28%(現在)
  • 2028年予測:33〜35%(国内旅行者の3人に1人がペット連れ)

この市場成長に合わせ、ペット用品自販機の設置台数も急増が見込まれる。現在は全国推定3,000〜4,000台程度とみられるが、2028年には1万台超えを予測する業界関係者もいる。


結び:「ペットと旅できる日本」を自販機が支える

ペット連れ旅行者が求めているのは、特別扱いではない。ただ、安心して旅ができる環境だ。その環境を整えるうえで、24時間稼働するペット用品自販機は「いてくれるだけで安心」というインフラになりうる。

観光地の事業者、ドッグランの運営者、ペット可施設のオーナー——それぞれにとって、ペット用品自販機は新たな収益源であると同時に、施設の魅力を高める集客ツールでもある。ペット旅行市場の成長はまだ始まったばかりだ。この波に乗る好機は、今この瞬間にある。

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