「自家製の餃子を冷凍自販機で売りたい」「手作りスイーツを自動販売で展開したい」——こうした希望を持つ飲食店や個人事業主が増えています。しかし、自家製食品を自販機で販売するには、販売する「箱(自販機)」だけでなく、食品を製造する「場所(製造施設)」に関する許可も必要です。
本記事では、2021年に食品衛生法が改正されて新設された「冷凍食品製造業」の許可区分を中心に、申請先・費用・手順を解説します。
本記事の法令・制度情報は厚生労働省「食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年法律第46号)」および「食品衛生法施行規則」(最終改正令和5年)に基づいています。必ず所管の保健所に最新情報をご確認ください。
まず整理:自家製冷凍食品の販売に必要な許可は2種類
冷凍食品を自販機で自家製販売するには、以下の2つの要件をクリアする必要があります。
| 必要な許可・要件 | 内容 | 窓口 |
|---|---|---|
| ① 冷凍食品製造業の許可 | 食品を冷凍加工・製造するための施設許可 | 所管の保健所 |
| ② 食品の自動販売機による販売業の届出 | 自販機で食品を販売するための届出(2021年改正で追加) | 所管の保健所 |
既に飲食店営業許可を持っていても、製造・販売する食品の業態によっては追加許可が必要です。
2021年食品衛生法改正で何が変わったか
2021年6月に施行された改正食品衛生法(平成30年法律第46号)により、営業許可の区分が大幅に整理・再編されました。
主な変更点
旧制度(〜2021年5月)
- 冷凍食品製造は「そうざい製造業」「冷凍食品製造業」等が混在し、自治体によって解釈が異なっていた
新制度(2021年6月〜)
- 「冷凍食品製造業」として独立した許可区分が法定化
- 「食品の自動販売機による販売業」の届出制度が新設
- 全国統一の営業許可基準(施設基準)が設定
これにより、冷凍食品を自販機で販売する事業者に対するルールが明確になりました。
冷凍食品製造業の許可が必要なケース
許可が必要(冷凍食品製造業)
- 加熱済み食品(餃子・唐揚げ・総菜等)を冷凍して販売する場合
- 非加熱食品(生餃子・ケーキ等)を冷凍して販売する場合
- 食品製造施設で大量製造し、自販機での無人販売を行う場合
既存許可の範囲内で販売できるケース
- 飲食店営業許可 を持ち、その施設内で製造したものをその施設の自販機のみで提供する場合は、追加許可不要のケースがあります(保健所により判断が異なるため要確認)
冷凍食品の製造・販売に関する許可は、食品の種類・製造場所・販売方法によって必要な許可区分が変わります。事業開始前に<strong>所管の保健所(食品衛生担当窓口)に必ず事前相談</strong>を行ってください。
冷凍食品製造業の許可取得手順
STEP 1:保健所への事前相談
製造施設(自宅・工場・飲食店の厨房等)の所在地を管轄する保健所に事前相談を行います。
確認すべき事項:
- 想定している製品カテゴリに対して必要な許可区分
- 施設の改修が必要な場合のポイント
- 申請に必要な書類一覧(自治体によって異なる場合がある)
- 申請から許可取得までの標準所要期間(目安:2〜8週間)
STEP 2:施設の整備(施設基準への適合)
食品衛生法に定める施設基準(冷凍食品製造業)への適合が必要です。主な基準は以下の通りです(食品衛生法施行規則別表第19より)。
製造設備
- 製造に必要な機械器具(混練機、成形機等)が食品に触れる部分が洗浄・消毒しやすい構造であること
- 冷凍設備:製品を−18℃以下で急速冷凍できる能力のある冷凍機を備えること
施設全般
- 清掃が容易な床・壁・天井(耐水性材料が望ましい)
- 手洗い設備(専用のもの、温水給湯設備)
- ネズミ・虫の侵入防止設備
- 原材料・製品の保管区画の分離
STEP 3:HACCPに基づく衛生管理の導入
2021年の法改正により、食品事業者全てにHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が義務付けられました(食品衛生法第51条)。
- 小規模事業者(従業員50人未満など): HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(「一般衛生管理に加えて、重要管理点を定める」簡略版で可)
- その他の事業者: HACCPに基づく衛生管理(フルバージョンのHACCPプランが必要)
HACCPの導入手順・様式は日本食品衛生協会のウェブサイトで無料公開されています。
STEP 4:申請書類の提出と審査
保健所に以下の書類を提出します(自治体によって追加書類が必要な場合あり)。
- 営業許可申請書
- 施設の平面図(設備の配置を示すもの)
- 水質検査成績書(水道水以外の水を使用する場合)
- 食品衛生責任者の資格証明書
- HACCPに基づく衛生管理計画書
STEP 5:施設検査(保健所による立入検査)
申請後、保健所の担当者が施設を検査します。基準を満たしていれば許可証が交付されます。
標準的な期間: 申請から許可取得まで2〜8週間(自治体・混雑状況による)
STEP 6:自販機設置の届出
製造業の許可取得後、販売に使用する自販機の設置場所の所管保健所に「食品の自動販売機による販売業」の届出を行います。
申請費用の目安
許可申請には以下の費用がかかります(自治体によって異なります)。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 冷凍食品製造業 許可申請手数料 | 15,000〜25,000円程度 |
| 食品衛生責任者養成講習受講料 | 10,000円前後 |
| 施設改修費用 | 0〜100万円以上(施設状況による) |
| 急速冷凍機の導入費用(新規の場合) | 50万〜200万円程度 |
既に飲食店営業許可を持ち、適切な冷凍設備がある施設であれば、追加許可取得のコストは申請手数料と講習費のみで済む場合があります。事前相談で自分の施設の現状を確認しましょう。
食品衛生責任者の設置が必要
冷凍食品製造業の許可施設には、施設ごとに食品衛生責任者を設置する必要があります。
食品衛生責任者になれる人:
- 栄養士・調理師・食品衛生管理者・と畜場法に規定する食肉衛生検査所の食肉衛生検査官 等
- 食品衛生責任者養成講習の修了者(6時間程度の講習、都道府県食品衛生協会が実施)
まとめ
- 自家製冷凍食品の自販機販売には「冷凍食品製造業許可」+「自動販売機による販売業届出」が必要
- 2021年の食品衛生法改正で許可区分が明確化・全国統一化された
- HACCPに基づく衛生管理の導入が義務(事業規模に応じた簡略版あり)
- 申請前に所管保健所への事前相談が必須
- 申請手数料目安:15,000〜25,000円(施設改修費は別途)
冷凍自販機の機体選定・設置費用についてはど冷えもんの価格完全ガイドを、中古機の購入については冷凍自販機中古ガイドをあわせてご参照ください。
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